本プロジェクトの原点は、
金沢21世紀美術館で行われていた
ニホンミツバチの飼育活動です。
美術館ボランティア、まるびぃ みらいカフェは、
まちに活き、市民とつくる、
参画交流型の美術館の実現を目指し、
ボランティアメンバー自身が語り合い、
企画・実行する活動です。
2024年春、
美術館で開催された展覧会をきっかけに、
まるびぃ みらいカフェの活動の一環として、
敷地内にニホンミツバチの巣箱が設置され、
その飼育と観察を担うグループとして
Bees Clubが結成されました。
美術館のミツバチたちは、
どのような花から
蜜や花粉を集めているのでしょうか。
ミツバチの採餌飛行距離は
半径およそ2〜3kmとされており、
これは金沢城周辺地域の
ほぼ全域を含みます。
つまり、
美術館のミツバチたちは、
金沢の中心市街地そのものを
フィールドとして活動していたのです。
さらに、
ミツバチが脚につけて巣へ持ち帰る
「花粉団子(花粉荷)」を採取し、
顕微鏡観察や
遺伝子解析(協力:金沢大学)を通して、
その花粉がどの植物に由来するのかを調べてきました。
観察を重ねる中で、
これまで見過ごしてきた
小さな花や植物の存在に気づき、
その多様さや美しさに興味を持つ体験が
積み重なっていきました。
この発見と感動を
より多くの人と共有するため、
2025年8月に一般参加型の
体験学習会を開催しました。
当日は、
専門家によるミツバチの生態講座と、
顕微鏡を用いた花粉観察を実施し、
小学生から大人まで多くの方に
参加いただきました。
市街地で採取された花粉サンプルは、
わずか1日分でも驚くほど多様で、
市街地における植物環境の豊かさを実感させるものでした。
さらに、
これまでの活動を広く紹介するため、
美術館イベント(オープンまるびぃ)として、
花粉の顕微鏡写真のパネル展示、
顕微鏡写真を用いたカードゲームや、
来場者参加型の
人気投票イベントを実施しました。
展示を通して強く実感したのは、
専門的な説明よりも、
まず視覚的な体験が人の心をつかむ
ということでした。
このように、美術館での活動を通じて、
ミツバチの飼育や花粉の分析が、
地域の自然環境のつながりを知る
有効な手がかりになることを学びました。
科学的な情報を手がかりにすることで、
まちなかに存在する植物の多様性を、
人があらためて実感し、
気づくための仕組みが生まれてきました。
この活動において私たちは、
科学的な新規発見そのものを
目的としているのではありません。
科学的な視点や問いの立て方が、
市民一人ひとりの日常に根づいていくことを、
私たちは「市民科学」と位置づけています。
また、この市民科学の活動に、
あらかじめ明確なゴールは定めていません。
本プロジェクトを通じて生まれる
市民一人ひとりの「気づき」は、
私たちの想像を超えて発展していく可能性がある
と考えているからです。
その広がりを大切に見つめながら、
皆さんとともに、
このプロジェクトをゆっくりと、
丁寧に育んでいきたいと考えています。
Bee Flower Project in Kanazawa
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